技術ブログ

イクシス遠隔臨場システム特徴
2020.10.22
技術解説
遠隔臨場とは

国交省が定める『土木工事共通仕様書(案)』では、工事の進捗や出来高を確認するために、監督者が現地に赴いてチェックを行う「段階確認」と呼ばれる工程や、その他、「材料確認」、「立会」と呼ばれる工程があります。遠隔臨場とは、監督側が遠隔地にいながら、映像と音声の双方向通信を使用して現場の確認作業を行うものを指しています。遠方の建設現場など、移動に負担がかかる現場での活用が見込まれるほか、最近はコロナウイルスの影響もあり、人が移動せずに済む方法が模索されています。

2020年度は試行の年

遠隔臨場のもともとの考え方としては、受発注者の移動にかかるコストを削減し、作業効率を図るというものです。現在、通信に関わる技術革新(5G)など社会に普及し始めており、将来的に、大容量通信でクリアな映像を遠隔地と遅延なくやり取りできるようになることから、建築・建設の現場でもこうした技術の活用が模索されていました。しかしながら、2020年初頭に予期せぬコロナウイルスの社会的伝搬が拡大したことから、当初の計画を前倒しして、この遠隔臨場を現場に普及させる政策的取り組みが始められました。2020年度は、国内100の現場での施行を目標に、国・自治体などで積極的に導入検討が進められています。

遠隔臨場導入には多くのポイントを押さえる必要がある

遠隔臨場は、オンラインで映像・音声をやり取りできて、録画ができればよいと簡単に思われがちですが、実は導入にあたって抑えるべきポイントがいくつかあります。遠隔臨場システムの基本的な構成ですが、①動画を撮影するためのカメラ、②オンラインでコミュニケーションするためのマイク・スピーカー、③監督側と通信を行うワイヤレス通信装置の大きく3つありますが、それぞれどういった機器を選ぶかによって、使用感や伝えられる情報の質が大きく変わります。

撮影方法

撮影方法は、手持ちカメラで撮影するか、身体に装着して撮影するウェアラブル型かの大きく2通りあります。また、どういったカメラで撮影するかといった、カメラの種類・性能も重要です。

ヘルメット装着型カメラのメリット

ヘルメット装着型カメラは両手が自由に使えますので、足場の不安定な場所での確認や、確認に伴う細かい作業を行いやすいメリットがあります。一方で、映像を「寄り」で確認したいときや、高所の確認など、撮影者自身が対象に近づかなければならない場面で操作しにくいデメリットがあります。

カメラの性能・設定と通信速度の関係

国交省の試行要領案では、画素数がフルHD(1920×1080px)、フレームレートが30fps以上確保できることが遠隔臨場の仕様と定められています。最近では小型でフルHD(1920×1080px)撮影できるカメラも増えてきており、一見、簡単に適合できるように思われますが、単に高画質というだけで選択してしまうと、通信の部分がネックになり、思わぬ失敗をしてしまう可能性があります。現在主流のLTE回線(4G)では、フルHD画質の動画配信としては限界があります。監督側の映像がカクカクとした動きとなってしまいがちというのが実際のところで、スムーズなフルHD映像を実現するためには実際には5Gが必要であり、現状は通信速度に応じてカメラや動画配信サーバーの設定を調整する必要があります。なお、2020年度限定で受発注者協議の上、画質は640×480px、フレームレートは15fpsまで落とすことが可能となっていますので、通信環境が著しく悪い現場等は、画質を落とすことを検討してもいいかもしれません。

音質

意外な落とし穴が「音質」です。工事現場は基本野外なので、様々な音が発生します。風の強い日などはマイクから風音が入り込み、ほとんど声が聞こえないなんてことも。近年では骨伝導式のマイク・スピーカーなどが普及してきており、状況によってはこうしたツールを活用するとリスクを軽減できます。また、現場からの声として、イヤホン型は周囲の音が聞こえなくなることから安全性の面でデメリットがありますので、この点、注意して機器を選定する必要があります。

ロボットを自社開発しているイクシスだからこその、ハードウェアにこだわった安心遠隔臨場システム

遠隔臨場では、上記に挙げたような多くの機能を調和させて実現させなければなりませんが、それらの機器選定や設定等チューニングはとても手間がかかり、技術も必要です。イクシスでは、長年のロボット製作のノウハウを活かして、遠隔臨場に必要な最適な機材構成をお手軽価格でご提案しています。すなわち、①カメラ・ヘッドセット・ジンバル、②通信装置、③ネットワーク回線、④動画配信サーバー、⑤現場側・監督側PCを絶妙なバランスで調整し、現場ですぐお使いいただける形にて提供しています。映像の質には特にこだわっており、他社にない通信の安定性とクリアな映像を実現しています。これには、ロボットから送信される大量のデータを扱う上での技術が関わっており、まさにイクシスだからこそできる遠隔臨場のシステムになっています。その他、耳をふさがない骨伝導ヘッドセットや、ジンバル・ウェアラブルの両対応、社内ネットワークを介在しない独立ネットワーク構成など、現場の声に寄り添った機器構成になっています。是非一度、お試しでお使いいただき、イクシスの遠隔臨場を体験していただければと思います。

BACK

pagetop